これは、去年彼がしていたヨーロッパ1人旅の話でなければ、顔の話でもない。
確かに、ザ・日本人顔の私とは違い、彼はどちらかというと濃い顔だ。
でも、ヨーロッパというよりは中東顔である。いや中東はさすがに濃すぎだから、「マイルドアラブ」とでも呼んでおこう。(実際呼んでいる)
海外を旅していると、韓国アイドルの世界的人気もあり、「コリアン?(韓国人)」と聞かれることが結構多い。
中央アジアのどこかで話した外国人女性ともその話になり、「日本人だよ」と言うと、「コリアンかと思った」「でもあなた(ふじたくさん)は…、スパニッシュかと思った」と言われたことがある。
スパニッシュではないだろ。
でも、それほど日本人にしては顔が濃いということだろう。
顔の話は今回の内容と全く関係がないから一旦置いといて…
時は、今から約1年半前に遡る。
JICA海外協力隊としてルワンダで生活しているとき、年に一度許される任国外旅行でタンザニアへ行った。女1人旅である。
当時一番行きたい国はタンザニアだった。何が目的だったかというと、もちろんサファリだ。
私はディズニー映画の「ライオンキング」が大好きで、その舞台となったタンザニアのサファリに行くことをずっと夢見ていた。
中学校の教育実習最終日には、黒板にメッセージより大きくティモンとプンヴァの絵を描いたし、“Hakuna Matata”は歌詞を見ずに歌える。もしも結婚式をするなら、『I Just Can’t Wait To Be King(王様になるのが待ちきれない)』の曲と共に入場したいと思っていた。
サファリに参加するために、サファリの拠点となるアルーシャという街のゲストハウスに滞在したのだが、そこに居合わせた旅行客と話をする機会があった。

最初は同じく1人旅中のフランス人女性と2人で話していて、後からオランダ人カップルが加わり、4人で話していた。
オランダ人カップルが、市場で買ったフルーツを私たちに分けてくれた。
食べ終わり、洗い物をしようと食器を持って席を立つと、オランダ人男性が、「僕がやるよ」と言った。日本人らしく、「いやいや…(私がやるよ)」と洗おうとすると、
キッチンは僕の場所だから、入っちゃいけないよ。
と、冗談混じりに言ったのだ。
それに付け加えて、
女性たちは座っておしゃべりするのが仕事だよ。
と、笑顔で私に座るように促した。
そのとき、2人のヨーロッパ女性はというと…?
私につられて席を立とうとするそぶりなどなく、そのやりとりを見ていたのである。「そうよ、彼に任せなさい。」というように微笑みながら。
これが、“異文化な経験“として印象に残っている。
日本ならどうだ?
こういうのは、女性がすることが多いと思う。
女性が率先してキッチンに立ち、料理をしたり、サラダを取り分けたり、洗い物をしたり。それが“女子力”や“気遣い”として評価される。
「おー!女子力高いねえ!」「気遣いできる人だねえ!」なんてセリフをよく聞くように。自分もそう思われたいと思っていたし、実際そう思われるような行動を心がけていた。
気遣いはいいことだと思うけど、女性(または年下)なら、“そうして当然”みたいな謎の常識。それは少し息苦しく感じるときもある。サラダなんて、順番にお皿をまわして自分で取っていけばいいのでは。
現在旅をしていて、共用キッチンのある宿に泊まることが多い。カップルもよく見かけるが、やはり、大抵のカップルは男性が料理やお皿洗いをしているのだ。
女性は「手伝おうか?」の一言も特にない。(多分)
男性は当たり前のようにそれをし、女性は当たり前のようにゆっくりしている。
ヨーロッパに滞在したことはないから欧州文化はあまりわからないが、これらのことから、私は家事を率先してやる男性のことを「ヨーロッパ男子」と呼んでいる。(ようやく本題)
そう。
我が夫であるふじたくさん(以下FJTさん)も、率先して家事や面倒ごとを引き受けるヨーロッパ男子なのである。
例えば、
・お皿洗いをしてくれる。
・じゃがいもの皮を剥いてくれる(ピーラーなんてめったにないから)
・買い出しのときにカゴや買い物袋を持ってくれる。
・ご飯の後に作業をするとき、テーブルを拭いてくれる。
・「バックパック重いでしょ。荷物こっち(FJTのバックパック)に入れようか?」と言ってくれる。
・2つのタスクがあるとき、基本的に面倒な方、大変な方を引き受けてくれる。
だいぶ甘やかされている。
(苦情が飛んできそうなので弁解しておくが、全部お任せしているわけではない。自分でやることもあるし、私がやることもある。基本、家事は一緒にするか交代でしている。)
でも、FJTさんがお皿洗いをしているすぐ横で、私は特に何をするわけでもなくだらだらと世間話をする時間が、とても心地よいのだ。
これを、“怠け”や“女子力が低い”ではなく“自然”と捉えられるこの環境も。
旅に出ていると、こうした小さな心遣いが大きな助けになったり、心の余裕を生むきっかけになったりする。
本当に、日々感謝である。
最近は、日本でもヨーロッパ男子が多いのではないだろうか。
あなたの周りに、ヨーロッパ男子はいますか?
どんなことをしてもらったら、ヨーロッパ男子だと感じますか?

【おまけ】
本日はFJTさんの誕生日。
現在世界旅の途中だけど、宿で自炊することが多いので、普段食べないような何か美味しいもんでも食べにいこうかと聞いてみた。

どこか行きたいお店とか食べたいものある?

んー、もえさんが食べたいものでいいよ。

ぼくの誕生日は、もえさんが食べたいもの食べにいこう。誕生日が2回あると思っていいよ。
(欲ナシ人間?)

えー、じゃあチーズケーキ食べたい。(遠慮しろ)
旅中は、お互いの誕生日はお互いの日になった。だから、誕生日は1年に2回。Win-Winである✌︎
結局この日は「オジャフリ」というジョージア料理を食べに行ったのだけど、そのお店でとても楽しい祭事(?)に立ち会い、素敵な一日になったのだった。まったく、いつもいつも運がいい。


ハッピーバースデー。

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