この記事は、私がJICA海外協力隊としてルワンダに派遣されていたときに書いた記事(2023年4月)をリニューアルしたものです。
何があったか簡単に言うと、40℃越えの熱が出て入院しました。当時の症状や経緯、病院での流れなどを記録しています。

異国で暮らす上で健康管理は本当に大切ですし、不安要素でもありますよね。
既に派遣されている方、派遣を控えている方、発展途上国で生活されている方に向けて、私の経験をシェアします。少しでも参考になれば幸いです。
症状
4/21(金)
・歩くのもきつい程の腰の痛みが出る。(寝違えた?生理前だから?)
・太もも、ふくらはぎの筋肉痛(久々に学校が始まり子どもたちと遊んだから?家で縄跳びしたから?)
とりあえず痛み止めの薬(ロキソプロフェン)を服用。
4/22(土)17:00頃
39.7℃の発熱
それまでは、上記の症状以外は特になく元気だったのでびっくり。
夜ご飯はりんごとバナナという通称ゴリラ食と、ポカリをがぶ飲み。19:00頃に寝る。
暖かい格好で寝たら大汗かいて、涼しい格好に変えたら寒気と震えが止まらなくなった。人間ってこんなに勝手に体が震えるのかというくらい震えた。激しい関節痛。頭も痛い。寒いよりはましかと、再び暖かい格好にし、馬鹿みたいに汗をかいて寝た。シーツも枕カバーも髪の毛もびっちゃびちゃ。
解熱薬や頭痛薬を数回に分けて服用。
4/23(日)5:00
熱は37.2℃。
大汗をかいたからか、劇的に熱が下がった。“自分の意地でも熱下げるぞ執念”に、我ながら『あっぱれ』をあげた。
いつも通り朝ごはんを作り、昼は予定があったので街をふらついて外食した。
昼過ぎ家に帰り、ぶりかえさないよう念のため寝ておくか〜と昼寝。
同日 16:00
起きて熱を測ると40.2℃。
ぶりかえした。
というか昨日越した。
嘔吐の症状がないから大丈夫だと思っていたけど、40℃越えにさすがにびびり、アフリカのやばい病気じゃないよな…と疑い始める。
蚊に刺された記憶はないが、一応マラリアの症状を調べると、
「発熱」「悪寒」「頭痛」「関節痛」「嘔吐」
見事に嘔吐以外当てはまるやん。マラリア説ありえるやん。発症してもうすぐ24時間経つやん。待って、死にたくない。
熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。
厚生労働省検疫所HPより
急に怖くなり、HA(健康管理委員)さんに連絡。さすがHAさん。休日なのにすぐに返信が来た。プロフェッショナルだ。
とりあえずマラリアテストをすることに。でも、ベッドから起き上がるのも辛い。隣人に、「マラリアテストやってぇぇ」って泣きつきたいたほどだった。
マラリアテストは無事に陰性。一安心。

生々しいのをすみません。マラリア流行地域に派遣される方は、練習を含めて一度はこれを経験するはずです。
首都キガリの病院に行くため、翌日の朝8:00頃HAさんが家まで迎えに来てもらえることに。
寝る前に解熱剤(タイレノール)を服用。
4/24 (月)6:00
39.8℃
解熱剤は効かなかった。
お迎えは朝の8:00頃のはずが、もう一人体調不良の隊員が出たらしく、うちに着くのは13:00頃になるとのこと。家のベッドで一人、ただただ苦しみに耐える地獄の時間だった。「もう無理ですぅ」と言いたくなるくらい(というか言ってた)きつかった。
首都キガリの病院へ
4/25 (火)13:00頃
HAさんが乗るお迎えの車が到着。
先に車に乗っていた体調不良者がまさかの同期隊員で笑った。口に出す余裕はなかったので、「ナンデオマエヤネーン」と心の中でツッコんだ。
車の中では話すことさえできずぐったり。目を瞑ってキガリまでの道のりを無心で耐えた。
HAさんは車の中で「もうちょっとだからね」「病院に着けばもう大丈夫だよ」と度々優しい声かけをしてくれた。
同日 15:00頃
病院に到着。
着いたらHAさんが「よくがんばったね」と言ってくれた。
院内を歩くのもしんどい程だったので、受付のルワンダ人女性が車いすを用意してくれた。優しい声かけをして、肩や背中をさすってくれた。そのホスピタリティはまるで日本の看護師さんだった。
病院に着いて安心したのと、HAさんや受付の女性の気遣いや優しさが相まって、涙が滲んできて、そんなにつらいのかと更に心配させた。
そして、私の様子があまりにひどかったからか、点滴が必要だったからか、まさかの入院となる。血圧が基準値より低かったからかも。
入院
病室に入ると、すぐに点滴と注射をしてもらった。少しずつ体が楽になっていく。最初は39.6℃だったのに、次に測ると37.1℃に。すごい。
頭痛だけはずっと治らなかったが、話ができるようになった。ちょうど同じ病院で受診していた同期隊員が検査の結果待ちだったので、病室で一緒に待機。
こんな汗だくの汗くさの髪ボサボサの、スマホの顔認証もしてもらえないようなボロボロの姿を見られるのが気の知れた隊員で本当によかった〜〜。気を遣わない相手で助かった〜〜。と心から思った。
結局その日は点滴を合計4本と注射を2本。
看護師さんもお医者さんも、血圧や酸素を測ったり、様子を見にきてくれたりするなど、ちょこちょこ病室に顔を出してくれた。
みんな親切。
その日の食事は、昼にりんご1個。夕方にビスケット5枚。ほとんど食べられなかった。
夜中、寝つきが悪くちょくちょく起きる。
その度に熱を測るが、39.5℃〜39.6℃と、39℃台をうろちょろ。点滴が切れると再び高熱が出た。
4/26(水) 6:00
39.5℃
朝一、もう一度点滴をする。
シャワーを浴びようとバスルームに行ったら立ちくらみがして、吐き気を感じる。
念のためトイレの前に行ったらすぐ吐いた。ろくなもの食べてないから水しか出ないけど。今まで吐き気はなかったのに…調子悪くなってるやん…と落ち込む。
その後、なんとかシャワーを浴び(まさかの水シャワー)、吐き気を止める点滴も入れてもらう。

病名はわからない。症状的に「敗血症」かな?でも定かではない。みたいな感じ。
点滴しても熱は治まらないし、吐き気まで出てきたし(結局午前だけで4回吐いた)、もしかしたらこのままよくならないんじゃないかと心が折れかけ、不安が募っていた。
お節介ナースとの食事
担当してくれていた看護師さんがこう言った。

男性看護師
お前はちゃんとご飯食べなあかん!ビスケットじゃ不十分や!
朝ごはんを持ってきてもらうが、食べられたのはパン1/2とバナナ1/3本。
頭痛の飲み薬も追加で服用。
昼(といっても15時頃)、

男性看護師
だからお前は食べなあかんのやって!食べたら元気になるんや!大事なのは食べることや!
そう強く説得され、まあ確かにと思い、近くのレストランで注文してもらった。

ちょっと待って。
ゆで卵3個聞いてないし、肉も薄い味付けがいいって言ったし、ライスなんて、「ほんのちょっとやで?ガチェガチェ(キニヤルワンダ語で「少し」という意味)やで?」って念押ししたのに、何だこの量は。
そう思ったけど、陽気な看護師さんが、こっちが恥ずかしくなるくらいの丁寧すぎるお世話をしてくれたから何だか可笑しくなってきた。

以下、陽気ナースのお節介行動シリーズ
- 全てのお皿のラップをはがす
- ゆで卵の殻を全部剥く
- ゆで卵に塩をかける
- 肉を一口サイズに細かく切る
- あーんして食べさせてくれる
- ペットボトルの飲料を飲ませてくれる
(下2つは自分でできると申告しました)

男性看護師
お前が食べるの見てるからな〜♪
と病室のイスに座り、ちゃんと食べるか見守られ(事実上監視)、少しでも手が止まると、

男性看護師
What happened!?
と圧をかけられた。
少しでもゆっくり食べて、口を大きく動かし、“ちゃんと食べてますよアピール”をする工夫が必要だったが、この「食べろハラスメント」による強制力が、後の回復につながったのだと思う。
完食ではないが、食べ終わったのは16:00前。1時間ほどかかった。
検査
その後、この高熱の原因がまだ分からなかったので、尿検査とレントゲンをすることに。
尿検査はふつうに終わり、レントゲン室に向かう。専用の検査着に着替える…
ちょっと待って。
ルワンダサイズの検査着が大きすぎて、着たところでほぼ見える。↓こんな感じ

少しでも後ろに引っ張り無事に検査を終えた。病室に戻り、しばらくHAさんと話しながら待っていると、検査の結果が来た。
そこで、今回のこの高熱の原因がほぼ明らかになった。
原因は、まさかの
膀胱炎
膀胱炎は、ユニクロ(大学時のバイト)のレジがあまりに忙しくてトイレに行けなかったとき以来なっていなかったのだけれど、実は、症状が出始めた1週間前から膀胱炎のような症状に悩まされていた。
病院に行こうか悩んでいたが、3〜4日後には自然と症状が治まったためそのままにしておいた。
尿検査の結果により、尿に明らかに異常な数値の細菌がいたということが判明。尿路感染というやつらしい。
とりあえず、原因が分かって一安心。「原因不明」というのが一番不安だった。スッキリして一旦HAさんとお別れ。
そして、またまた爆盛り夜ご飯。(※20:00頃)
「少しやで?少しやで?」と強調してこの量。

病人が食べる量と味付けじゃない。昼ごはんが遅かったのもあり、さすがに食べられず4/5は残してしまった。ごめんなさい。
その日の夜、寝る前、夜中起きた時、早朝、何度測っても、熱は35℃台。
こりゃ退院ですわ。と確信する。
祝・退院
その予測通り、朝の体温と血圧、酸素チェックにより退院が決定。
祝いのシャワー(?)を浴び

私がどんなにしんどくてもびっくりするぐらいのハイテンションで部屋に入ってくるマネージャー的なポジションの男性に、祝いのポエム(以下掲載)を贈られ、

昨日のキミは笑ってない
でも今日のキミは笑ってる
生まれ変わり新しい日が始まる⭐︎
HAさんに手作りおにぎりをもらった。

おにぎりを見て、匂いをかぎ、一口かじったとき、涙が出そうになった。というか少し出た。おにぎりの威力ってすごい。ルワンダで、こんなおにぎりは食べられない。
その威力を、20数年も前からハクは知っていたんだな。

「弱っている者にはおにぎりを与えよ」
私も今後の人生これを胸に刻み行動して参ります。
さいごに
今回の高熱は理由が分からなくて本当に不安だったけど、勤務時間フル無視で対応してくださったHAさん、頼れるお医者さん、親切な看護師さん、優しいスタッフさん(洗濯に出してたブラトップ一枚なくなったけど)、共に受診し色々助けてくれた隊員、たくさん心配のコメントをくれた皆さんのおかげで、元気になることができました。
ご心配をおかけしました。そして、本当にありがとうございました。
任地に来て1年くらいで、体調不良になる人が多いようです。楽しいなと思っていても体は弱っているらしいです。
皆さん、体調には十分気をつけてください。
体が資本!
無理せず、自分の体を一番大事に。
女性のみなさんへ
そして特に女性の皆さん。
どんなにトイレが汚くとも、流す水がなくとも、紙がなくとも、トイレにハエがいようとも、尿意を感じたら我慢せずに行きましょう。
膀胱炎、オソロシヤです。
もし、これから途上国のローカルエリアに長期間滞在する方で、膀胱炎経験者の方は、「ボーコレン」を持っていくことを強くおすすめします。あれ、一発で効きます。
私は持っていかなくてすごく後悔しました。
それでは最後に、衣類のほぼ全てが汗だくで着る服がなくなったため、HAさんが服を貸してくれたのですが、それがまさかのアニエスベーで、ルワンダでアニエスべーを着てることが面白くて、2日間シャンプーできてないのに自撮りした写真で締めたいと思います。(情報過多)

発展途上国で活躍される皆さまが、健康で過ごすことができますように。
コメント